複数ネットワークの統合とIP化により
発展性の高い高速ネットワークへと生まれ変わる

導入事例 株式会社 沖縄県農協電算センター様
複数のネットワークを1つに統合し、プロトコルの統一と回線の高速化を実現することによって、新システムの展開にも対応できる将来性の高いネットワークへと発展を遂げる
[ 2006年10月25日掲載 ]
| 導入事例概要 | |
|---|---|
| 業種: | 情報処理 |
| ソリューション: | ネットワークインテグレーションサービス |
| 製品: | ルータ(Si-R570等)、スイッチ(Catalyst3750等)、帯域制御装置(IPCOM S1200)など |
| 規模: | 216店舗、約420回線(バックアップ含む)、通信機器約700台 |
| 構築期間: | 約1年 |
株式会社 沖縄県農協電算センター様(以下、JA沖縄電算センター様)では、沖縄県農業協同組合様(以下、JAおきなわ様)のシステム開発・運用を一手に担い、平成18年6月に複数のネットワークを1つに統合。プロトコル(注1)を汎用のTCP/IPに統一し、新しい通信機器や高速回線の導入により、将来性の高い県内最大級のネットワークへと発展を遂げました。また、統合によりネットワーク機器が統一され、メンテナンスや障害対応の負荷を軽減することができ、バックアップ回線も確保できるようになったため、ネットワークの信頼性も向上しました。今後はグループウェアやテレビ会議などの新システム導入についても、検討を進める予定です。
| 課題と効果 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 1 | システムごとに構築されている3つのネットワークを統合し、新たなオープン系システムに対応する | 高速回線を使用してネットワークを統合、プロトコルも汎用のTCP/IPに統一したため、将来性の高いネットワークへと発展した | ||
| 2 | 端末を、1つのネットワーク上で使用する | プロトコル変換装置を導入することにより、TCP/IP以外のプロトコルを使用しているシステムや端末も、統合後のネットワークでそのまま利用できる | ||
| 3 | 老朽化したネットワーク機器を更新する | ネットワーク機器を更新・統一したため、メンテナンスや障害対応が容易になった | ||
| 4 | 主要拠点のみ導入されていたバックアップ回線を、勘定系店舗に適用する | ほぼ全店舗でバックアップ回線を導入したため、ネットワークの信頼性が向上した | ||
導入の背景
将来的なシステムの発展に、柔軟に対応できる基盤作りを目指す

上原 盛昌氏
株式会社 沖縄県農協電算センター 業務部 次長
沖縄県下の組合員に対して、信用事業・共済事業・経済事業を展開するJAおきなわ様。そのJAおきなわ様のシステムやネットワークの開発・運用全般を一手に担っているのが、JA沖縄電算センター様です。
沖縄県は多数の島々から成り立っています。だからこそ、JAおきなわ様の業務や事業展開にはネットワークが不可欠であり、その環境整備はJA沖縄電算センター様にとって重要な課題でした。
「JAおきなわは平成14年4月、県下にあった27のJAが統合し、県単一のJAとしてスタートしました。組織が変われば、当然、システムやネットワークの仕組みも見直す必要が生じます。また、JAが全国的に取り組んでいる印鑑照会システム(注2)のような新しいシステムにも対応していかなければなりません。そのためには、まず基盤となるネットワークを整える必要がありました。」(上原氏)
さらに、ネットワークシステムの改編にあたってはさまざまな条件がありました。JAおきなわ様には、大きく分けて3つのシステムがあります。信用・経済などの業務を扱う「勘定系システム」、帳票および電子メールなどのイントラネットに関する「帳票関連システム」、園芸などの業務を扱う「販売関連システム」です。以前は、この3つのシステムが、それぞれ別のネットワーク上で稼動していました。しかも、各ネットワークは利用している回線やプロトコルが異なっていました。勘定系システムは専用線でX.25、帳票関連システムはISDNでTCP/IP、販売関連システムはフレッツサービスでTCP/IP、といった状態だったのです。
システムの概要
3つの異なるネットワークを1つに統合し、プロトコルをTCP/IPに統一

長嶺 勝氏氏
株式会社 沖縄県農協電算センター 業務部
これらの条件を基に、ネットワークシステムの改編にあたり以下の要件を提示。複数のシステムベンダーや回線キャリアから提案を受け、選定を行いました。
- 3つあるネットワーク回線を一本化し、高速化する
- 老朽化した通信機器を更新する
- 基幹店舗のみの対応だったバックアップ回線を、勘定系店舗に拡張する
- 混在しているプロトコルを、汎用のTCP/IPに統一する
- 既存のシステムおよび端末をそのまま使用する
検討の結果、平成17年6月にベンダーは富士通、キャリアは沖縄通信ネットワーク株式会社(以下、OTNet)に決定。平成18年3月にはネットワークの構築を終え、その年の6月には県下の約200店舗すべてが、新ネットワークに移行しました。
県内最大級の規模となった新ネットワークでは、今までの3つのネットワークが1つに統合され、すべてのシステムがそのネットワークを共用する形になりました。回線も光回線を使った広域イーサネットサービス(注3)に変更したため、速度も格段に向上しました。ネットワークを統合した結果、バックアップ回線の確保も以前より容易になり、ほぼ全店舗がバックアップ対象になったので、ネットワークの信頼性も向上しました。
「プロトコルを汎用のTCP/IPに統一するということは、今後の展開にあたり欠かすことのできない要件だったため、主要な業務である勘定系システムで使用しているプロトコルがTCP/IPではないことへの対応が必要でした。しかし今回は、システム自体の再構築や端末の変更を行うわけにはいきません。古いプロトコルを使ったシステムのまま、データだけをTCP/IPに乗せるにはどうするか、ということで富士通に導入してもらったのがプロトコル変換機でした。この変換機を支店に設置し、勘定系システムについてはプロトコル変換を行うことによって、既存の端末が今までと同じように使える状態になりました。」(長嶺氏)
ベンダーに富士通を選定した理由として、JA沖縄電算センター様は以下の点を挙げています。
「最大の理由は『安全性』でした。古いものから新しいものに移行する場合は、常にリスクが伴いますが、そのリスクをどれだけゼロに近づけられるか、という点を重視したのです。たとえば富士通には、ルータが故障してもプロトコル変換機が代替機能を果たして通信を維持できる、という二重化によるリスク回避の提案がありました。つまり、最も安全性が高くリスクが低い、という点が決め手になったということです。新しい通信機器の選定についても、要件によっては富士通の機器に固執せず、Cisco社のネットワーク製品と組み合わせることにより最適なソリューションを提供する、といった柔軟性があったのも良かったと思います。」(上原氏)

導入の効果
余裕のあるネットワークを構築しておくことで、長期的な導入効果に期待
今回のネットワーク統合の特徴は、3本あったシステムのネットワークを単に1本にしたというだけではなく、10本分のシステムを支えられるほど余裕のある1本の太いネットワークを構築した、という点です。
「ネットワーク統合によるコスト削減効果は一概に評価できませんが、将来を見据えたコスト抑制をすることで取り組んできました。信用業務を取り扱っている以上、回線にもセキュリティ等の品質を求めており、その品質に対するコストはかけていますから。しかし、今までのようにシステムごとにネットワークを構築するという手法だと、新しいシステムを追加するたびにネットワークのコストがかかってしまいます。今回はネットワークを1本化し、かつ容量に余裕のある仕様にしましたので、新しいシステムが追加されてもこのネットワーク上に乗せることができます。また、導入・運用の負荷やコストも抑えられるので、長期的に見れば、コスト削減できるネットワークシステムだと思っています。」(上原氏)
また、ネットワークを1本化した結果、メンテナンスの面でも変化が現れてきたといいます。今まではシステムごとにネットワーク回線が違っていたので、ルータなどのネットワーク機器が1店舗内に何台もあり、しかもそれぞれ機種が違う、といった状態でした。そのため、障害発生時の確認や対処も大変だったのです。今は回線が1つになり、ネットワーク機器も統一されたので、メンテナンスや障害対応も楽になりました。
一方で、このネットワーク統合には技術面以外の苦労もあったようです。
「JAおきなわ、ベンダーの富士通、キャリアのOTNet、そして当社、この4者の調整を行い、移行のための回線引き込み工事や機器設置を実施する、というのが一番大変でした。JAおきなわの業務に極力ご迷惑をかけないためには、業務に支障がない土日中心に日程を組まざるを得ないが、できるだけ短期間で全店完了しなければならない。しかし店舗は200個所にも及ぶ、という厳しい条件です。富士通にもOTNetにもかなり無理なお願いはしましたが、結果的には、JAおきなわにも大きなご迷惑をかけることなく約3ヶ月で完了できました。」(長嶺氏)
将来の展望
統合ネットワークをさらに有意義に活用する、情報伝達システムの導入を検討
JA沖縄電算センター様では、この県内最大級の統合ネットワークに乗せるための新しいシステムを、いくつか検討中とのことです。
「今後はグループウェアやテレビ会議システムなどを活用して、より迅速で正確な情報のやり取りが実現できればと思っています。そういったシステムを追加していくだけの余裕が、この新しい統合ネットワークにはあるのですから。ただ、離島の店舗では期待していたほど回線速度を上げられなかったのが残念です。これは通信サービスの提供範囲という課題もあるので、難しい部分もありますが、将来的にはぜひ解決したいと思っています。」(上原氏)
また、富士通に対しては、さらに使う側の視点に立った提案を期待しているとのことです。
「我々は、沖縄の営農を支えるJAおきなわのシステムを担っています。ですから、単に『このシステムを導入すれば、回線速度が向上する、コストが削減される』ではなく、『このシステムをこのように活用すれば、JAおきなわのこの業務がこれだけ効率化される、JAおきなわ組合員の方々はこの部分が便利になる』というように、エンドユーザーのメリットまで視野に入れた提案を期待しています。富士通なら、それができるだけの技術力やノウハウを持っていると考えています。」(上原氏)
このご期待にお応えするためにも、富士通では今後もエンドユーザーの業務や生活の向上を第一に考えたご提案を行っていきます。
【営業からの一言】
富士通株式会社 沖縄支店 営業主任 三輪 和明
複数の島々から成る沖縄県にとって、ネットワークはJA事業経営の一旦を担う重要な基盤です。我々が本統合ネットワークの安定運用を維持し、システムをさらに発展させていくことは、複雑なJA事業全体を裏で支えることにつながると認識しています。富士通では今後も、利用者の利便性向上を目指すJA沖縄電算センター様の良きパートナーとして、グループ一丸となってシステムの構築・運用・管理をサポートしていく所存です。
【株式会社 沖縄県農協電算センター様 会社概要】
| 所在地 | 〒901-2131 沖縄県浦添市牧港4丁目14番1号 |
|---|---|
| 代表取締役社長 | 当山 則雄 |
| 設立 | 昭和56年11月 |
| 資本金 | 9,500万円 |
| 従業員数 | 24人 |
【ご紹介した製品・サービス】
【導入事例(PDF版)】
用語解説
- 注1: プロトコル
- ネットワークを介してコンピュータが情報をやりとりする際に使用する通信ルールのこと。TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)はインターネットやイントラネットで標準的に使用されているプロトコル。X.25はパケット交換ネットワークで使用されるプロトコル。
- 注2: 印鑑照会システム
- 通帳の届出印を電子データに変換し、印鑑照会時には端末機で印影を表示して確認を行うシステム。
- 注3: 広域イーサネットサービス
- 比較的近くにあるコンピュータをつなぐネットワーク(LAN:Local Area Network)で使用されるイーサネットを、全国規模の広域ネットワークサービスに拡大したもの。
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