このページの本文へ移動

基幹ネットワークのバックアップにフレッツ回線を採用し、
低コストでネットワーク全体の信頼性を向上


導入事例 日本製紙株式会社様


コストダウンを主眼として基幹ネットワークの見直しを図り、主回線を1.5Mの専用線から3M~10MのEthernet回線(注1)に増強。また、バックアップとして新たにビジネスVPNサービスを主要40拠点すべてに採用することで、ネットワーク全体の信頼性向上と、2割強のコストダウンを実現しました。

[ 2007年3月14日掲載 ]


導入事例概要
業種: 製紙業
ソリューション: FENICSネットワークサービス
製品: FENICSビジネスEthernetサービス(広域Ethernet)
FENICSビジネスVPNサービス(エントリ型VPN)
ルータ(Si-Rシリーズ)
規模: 全国約40拠点
構築期間: 検討期間約4ヶ月、稼動まで約1ヶ月
課題と効果
1 基幹ネットワークの運用コストを削減したい 主回線を専用線からEthernet回線に変更し、バックアップと併せても従来の2割減を達成
2 バックアップ回線が一部拠点にしかなく、障害時の対応に不安 低価格なフレッツ回線を利用したビジネスVPNサービスにより、全拠点を二重化
3 (将来的な課題)インターネットを社内ネットワークに組込んだことによるトラフィック増大への対応 新規導入のバックアップ回線をサブ回線として利用し、用途に応じて振りかえ

導入の背景

最新ITサービスの導入で、既存ネットワークのコストパフォーマンス向上を検討

山下 源一
日本製紙株式会社
管理本部
情報システム部
調査役

株式会社日本製紙グループ様(以下、日本製紙グループ様)は、新聞用紙、印刷出版用紙といった洋紙事業でトップシェアを誇るほか、板紙、家庭紙、木材成分を利用した化成品などの製造、販売、さらにレジャーや緑化事業まで手がける製紙業界の世界的リーディングカンパニーであり、日本製紙株式会社様(以下、日本製紙様)はその中核を担っています。

業界再編が進む製紙業界にあって、日本製紙グループ様では2015年までに世界紙パルプ企業のトップ5にランクされる企業グループを目指す、という「グループビジョン2015」を策定。拡大が見込まれるアジア市場への本格進出をはじめ、グローバルな視野から事業戦略を展開しており、情報システム部門でもこの指針に沿って、グループ全体のITガバナンスを確立していくことが求められています。

そういった中で、市場優位を獲得、維持していくために、いかに経費を削減していくかという課題は全社共通です。基幹ネットワークの見直しは、まず運用コストの削減を図るべく検討が始められました。

「2002年の導入以後、ネットワークインフラもだいぶ変わってきましたし、低価格で、品質のいいサービスが新しく出てきているので、そろそろ更新の提案をお願いしたいと富士通に相談したのが2005年の半ば頃でした。」(山下氏)

システムの概要

主回線のパワーアップに加え、全拠点の二重化を実現

今回、FENICSのサービスを適用されたのは、日本製紙様ほか、グループ中核企業の本社、支社、工場など、全国40拠点あまりを結ぶ重要な社内ネットワーク。主回線は、従来よりFENICSビジネスEthernetサービスをお使いでしたが、DA 1.5(注2)、ATM(注3)回線を主とした構成からEthernet回線に変更。回線速度が3M~10Mへとパワーアップされると同時に、かなりのコストダウンが見込まれたため、一部拠点のみに敷設されていたバックアップ回線を全拠点に展開することが可能となりました。そのバックアップ回線として採用されたのが、FENICSビジネスVPNサービスです。

「富士通とは長年のお付き合いがあり、実績もあります。他社のサービスも検討材料として参考にしましたけれども、当初から他社へのリプレイスということは考えていませんでした。サーバなども富士通製ですし、何かあったときの窓口は1つの方が対応しやすいですから。回線の二重化についても、万一のときに主回線とバックアップが同じキャリアでは二重化する意味がないので、別々のキャリアにしようと考えていました。富士通ならマルチキャリアですから、各地域で最適なキャリアをご提案いただき、一括対応していただけます。こちらで個別にあれこれ手配しなくてもいい、というのは大きなメリットですね。」(山下氏)

実際の導入は、2006年5月から現地調査を開始し、主回線は7月中に殆どの拠点で切替えを終え、その後順次各拠点にバックアップ回線を敷設、10月半ばに全拠点の二重化が完了しました。

「導入に関しては、回線に付随してルータなどのハードウェアも一新という形でしたから、大きなトラブルもなくスムーズに移行できました。」(萩原氏)

株式会社 日本製紙システム概要図1

(注)MDN: NTTが提供するATM技術を用いたネットワークサービス

株式会社 日本製紙システム概要図2

導入の効果

運用コスト2割減を達成するとともに、ネットワークの信頼性を向上

萩原 孝明
日本製紙株式会社
管理本部
情報システム部
調査役

もともとパフォーマンス的には、不満はなかったとのことですが、主回線の高速化とともに、バックアップ回線を主要全拠点に整備。ネットワーク全体の増強が可能となった一方で、運用コストは従来に比べ2割強削減と大幅なコストダウンが実現されました。また、主回線とバックアップ回線、双方を富士通側で監視可能になり、障害時の切り分け、復旧を柔軟に行うことができるようになりました。

「一番の導入効果は、なんといってもコストですが、全拠点の二重化によって運用面での信頼性がアップしたことも大きいですね。とくに北海道地区は地域的なこともあって、荷台を上げたトラックが架線を切ってしまったことが複数回あるなど、トラブルが起きやすい地区でした。断線のような物理的障害は不可抗力ともいえますが、北海道の工場からは、ともかくつながらないと業務に支障が出てしまうので、なんとかして欲しいと言われていました。ビジネスVPNサービスを導入してからは、メイン回線に何かあっても、とりあえずはバックアップに切り替われば大丈夫という安心感があり、担当者としても精神的にとても楽になっています。」(萩原氏)

将来の展望

主・副回線を使い分け、増大するデータにフレキシブルに対応

これまで一部拠点にのみバックアップとして敷設されていたINS64回線(注4)は、手動での切り替えが必要など運用面での機動性が悪く、実際の利用には問題がありました。今回、新たに主要全拠点にバックアップとして導入したビジネスVPN回線では、主回線の不通を感知し、自動で切り替える構成としたため、回線障害時の対応の機動性が向上しました。また、ビジネスVPN回線の高いパフォーマンスをバックアップだけでなく有効に使っていきたいとのこと。NTT Bフレッツを利用しているため、センター側で機器や回線の追加、変更をすることなく、容易に追加導入できることも利点です。

「以前は、外部ネットワークを使ってインターネットに接続していましたが、これも社内ネットワークに組み入れました。しかし、それによって基幹業務が圧迫されるようになっては困ります。そこで、重要性が低く、データ量の大きいネットワーク接続をビジネスVPNサービスに振り替えていけたら、と思っています。インターネット以外でも、例えば、まだ検討の段階ですが、工場での作業手順などをテキストだけではなく、動画ストリームで閲覧できるようにする、といった場合です。」(山下氏)

ものづくりの現場では、熟練社員のノウハウは貴重な知的財産。その他、e-ラーニングなど、ビジネスVPNサービスの用途は、多彩に広がりそうです。

最後に富士通への要望をうかがいました。
「ネットワークは、つながっていて当たり前、というところがあります。とくに基幹ネットワークでトラブルが起きれば、業務に大きな支障をきたすわけですから、万一の場合の対応については非常に重視しています。そして、富士通は、当社のIT戦略の重要なパートナーと考えていますので、今後もシステムインテグレーターとしてのトータルな視野から、ご提案していただけることを期待しています。」(山下氏)

ネットワークシステムは、ITインフラの要。回線品質や運用面など、お客様の高い要求にお応えできるよう、今後も努力してまいります。

【日本製紙株式会社様 会社概要】

代表取締役社長 中村 雅知
創業 1949年8月1日
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル
資本金 1048億7300万円
社員数 5,489人(2006年4月1日現在)
事業内容 製紙業

用語解説

注1: Ethernet回線
ビジネスEthernetのアクセス回線のメニューの1つ。他のアクセス回線の同帯域と比較して、より高速より低価格でのご提供が可能。
注2: DA
Digital Access。NTTが提供する低価格なデジタル専用回線。
注3: ATM
Asynchronous Transfer Mode。非同期転送モード。データを48バイトに分割し、5バイトのヘッダ情報を付加した53バイトの「セル」と呼ばれるフレームを送受信する回線交換方式。
注4: INS64
従来の電話線をそのまま利用してデジタル伝送を行うNTTのサービス

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。