- 導入事例
- 株式会社プロネクサス様
プロネクサス様では、お客様の大切な開示情報を扱う電子公告システムを自社データセンターで24時間365日止めることなく運用しています。従来はシステムの可用性を確保するためにバックアップセンター等を利用していました。より少ない運用コストで、より高いレベルのサービスを実現するためにFENICS Web高速配信サービスを採用し、障害時にも絶対に止まらない高可用性を備え、お客様の信頼に応えられる新システムの構築を実現しました。
[ 2011年3月11日掲載 ]
業種: | 印刷業 |
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導入システム: | FENICS Web高速配信サービス powered by Akamai |
導入期間: | 検討2ヵ月、導入3ヵ月 |
1 | 常に稼動が求められる電子公告システムの可用性を極限まで向上させたい | Webサーバの障害時にコンテンツ配信サーバをインターネット上に配置されたバックアップサーバに動的に切り替えることにより高可用性システムを実現 | |
2 | 信頼性の高いシステムを維持するための運用管理コストを削減したい | クラウド上のサーバを利用することにより、システム維持のための運用管理から解放 | |
3 | 海外からのアクセスにも高いレスポンス性能をもつシステムが必要 | 世界中に配置されたキャッシュサーバにより、あらゆる地域からのアクセスに高速なレスポンスを実現 |
国弘 真治氏
株式会社プロネクサス
広告チーム チームリーダー
プロネクサス様は、上場会社や金融商品運用会社におけるディスクロージャー・IR資料作成の支援を行っています。国内上場会社の6割におよぶ会社から定期発注を受けるなど、この分野のリーディングカンパニーです。
同社は、ICTを利用して企業のディスクロージャー・IR資料を作成するシステムを提供するシステムサポート、顧客が作成した原稿を専門のスタッフが法的にチェックして開示書類の適法性と正確性を高めるコンサルティングサポートなど、さまざまなサービスを提供されています。
広告チーム チームリーダーの国弘 真治氏は、「弊社の強みは、根拠法令に基づいた専門的アドバイスによる正確な開示情報の作成サポートから、完成した開示情報の確実な公開サポートまでのプラットフォームをノンストップで提供できる点にあります」と語ります。
酒井 哲也氏
株式会社プロネクサス
情報システム部 部長
同社では、電子公告の保管・掲出の代行を行うサービス「KeeProve Master」を提供しています。電子公告とは、従来会社が官報や時事に関する日刊紙に掲載する方法により行っていた合併や資本減少等の公告を、ホームページに掲載する方法によって行うことをいいます。公告を掲載する企業は日刊新聞紙に掲載するよりも大幅なコスト削減を図ることができます。しかし、電子公告が適法に行われたかどうかについての客観的証拠を残すため、法務省から認可された電子公告調査機関からの調査を受ける必要があります。最低6時間に1回行われる調査時に、公告内容を正常に表示できなかった場合は記録され、その期間が総掲載期間の10分の1を超えてしまった場合には、公告自体が無効になってしまいます。
場合によっては、合併などができなくなる可能性があるというリスクもあるわけです。
情報システム本部 情報システム部部長の酒井 哲也氏は「調査会社は複数あり、調査間隔も調査会社によって異なっています。そして、ほとんどの調査は、昼間、夜間といった時間を問わずに自動的に行われます。本サービスを始めた当初はメンテナンスのための切替タイミングも比較的自由でしたが、お客様の数が増えた現在は切れ目なく調査が行われるため、10分のメンテナンスですら難しい状況です」と語ります。
竹内 一広氏
株式会社プロネクサス
情報システム部
ITアーキテクトグループ
加えて、情報システム本部 情報システム部ITアーキテクトグループの竹内 一広氏は「KeeProve Masterを運用している自社データセンターでは優先的にネットワークを切り替えたり、スタンバイ機を用意したりと、システムの信頼性を高めるためにできるだけの対応をしてきました。ただし、本サービスは、リクエストごとにデータベースに問い合わせて開示情報を呼び出す仕様となっています。そのため、アクセスが集中したときにデータベースへの負担が極度に増大し、サービス規模が拡大するうえで一番懸念すべきポイントでした。システムをもっとシンプルにして、単一障害点を減らすことで、負荷が増えても稼動を続けられるようにしたいと常々思っていました」と語ります。
こうした中、さらなる可用性向上と機能強化を目指して、同社ではKeeProve Masterの新システム構築の検討に取り組みました。当初は、クラスタリングやデータセンターの冗長化なども検討されましたが、コストがかかりすぎることがネックとなっていました。慎重な検討の結果、最終的に採用されたのが「FENICS Web高速配信サービス powered by Akamai」(以下、Web高速配信サービス)です。
Web高速配信サービスは、国内外のあらゆるジャンルのWebサイトの負荷分散や、OSアップデート/ウイルスパターン更新ファイルの配布、大規模なライブ映像のストリーミング配信など、世界中の様々な分野で利用されている米Akamai Technologies社のコンテンツ配信技術を利用したソリューションです。
採用のポイントについて、酒井氏は「Akamai社のコンテンツ配信技術については以前から知っていました。当初は動画配信やダウンロードサービスなど、大容量コンテンツの配信専用の技術ととらえていましたので、検討対象として考えたことはありませんでした。しかし、オリジナルのサーバに障害が発生してもコンテンツを取得するサーバを自動的に切り替えるSite Failover機能や、インターネットに配置されたバックアップサーバであるNetStorage機能を利用すれば、目指している高可用性システムを構築できると確信をもてたことが採用につながりました」と、当時を振り返ります。
同社は、2010年5月に提案を受けて同年6月末に契約し、7月中旬から10月初旬の約3ヶ月間で導入を終えました。
新しい電子公告システムでは、まず開示前の情報が漏洩することがないよう、同社のシステム内で厳重なセキュリティによって守られながら作成されます。その後、作成が完了して掲出可能となった情報だけが、Web高速配信サービスを利用した新システムで公開されます。
開示情報に対してリクエストがあると、世界70カ国、1,100拠点に配置されている73,000台のサーバにキャッシュしながら配信されます。その後、キャッシュされているコンテンツに対して再びリクエストがあった場合は、キャッシュ上にある情報を利用して高速にレスポンスを返します。なお、キャッシュされるのは静的コンテンツだけなので、同社では独自に開発したCMSを利用して、開示情報を公開サーバにアップロードしています。
このように、機密性の高い開示前情報は社内システムで厳重に管理し、可用性が求められる開示後の情報はクラウドを活用して公開することにより、電子公告に求められるセキュリティと信頼性を両立するシステムを実現しています。
導入の効果について、竹内氏は「KeeProve Masterは、24時間365日の稼動を実現するために多くの人員が運用管理にあたっていました。その点、Web高速配信サービスを利用している新システムでは、開示後情報の配信に関わるシステムの運用管理を富士通が行うので、運用管理コストを大幅に削減することができます」と語ります。
また、酒井氏は「新システムと同レベルの信頼性をもつシステムを自社で構築していたとしたら、コストはもっとかかっていたと思います。ただ、コスト削減についても期待はしていますが、導入効果として大きいと感じているのは、お客様に現在よりも信頼性の高いサービスを提供できるシステムを構築できたことです」と語ります。
今後の展開について、「以前のKeeProve Masterは、電子公告などの法定文書の掲載を中心にしてきました。クラウド上に展開するWeb高速配信サービスは、動的なサーバ割り当てによる拡張性も兼ね備えているので、今後は招集通知、プレスリリース、さらに英文の開示情報なども掲載してゆきたいと考えています。のべ900社を超える企業の電子公告を取り扱ってきた実績のあるKeeProve Masterにさらなる機能をプラスすることになるので、本サービスを利用した新システムをKeeProve Master Plusと名称変更して、より規模を広げて展開して行きます」と、国弘氏は語ります。
富士通はお客様のご要望に応えられるように、Web高速配信サービスの向上になお一層努力してまいります。
代表者 | 代表取締役社長 上野 剛史氏 |
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所在地 | 東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング5階 |
設立 | 1947年5月1日 |
資本金 | 30億5,865万500円(2010年9月30日現在) |
社員数 | 909名(連結)575名(単体)(2010年9月30日現在) |
事業概要 | ディスクロージャー・IR実務支援サービス |
ホームページ | 株式会社プロネクサス ホームページ |
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