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IoT/M2Mの進展を見据え、クラウドを活用した遠隔監視サービスを開始
社内だけでなく、お客様とも機器情報を共有することで、迅速かつ効率的な保守を実現

川重冷熱工業株式会社様 製品写真

川重冷熱工業株式会社様 導入事例


保守スタッフが現場に出向き、対応が難しい場合に設計部門に相談する。IoT/M2Mが進展する中、こうした保守業務の仕方が変わろうとしています。大型空調機と汎用ボイラのパイオニア、川重冷熱工業株式会社様は、遠隔監視を行うテレメンテシステムを「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSⅡ M2Mサービス」をベースに刷新。運用を従来のPHSから携帯電話網とインターネットに変更し、お客様先の機器から取得できる情報を大幅に拡充し、サービス領域を拡大。高度なセキュリティのもと、クラウド上で社内、お客様との間でも情報の共有を図り、保守業務の迅速化を図っています。

[ 2014年5月15日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 製造業(空調機器、汎用ボイラ)
導入サービス: FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSⅡ M2Mサービス注1
構築期間: 約1年
【課題と効果】
1 PHSで運用していた遠隔監視システムの通信異常や設置場所の制限などの課題を解決したい 「FENICSⅡ M2Mサービス」の利用により、PHSから携帯電話網とインターネットでの運用に変更。カバーエリアの狭さ、通信費用の問題を解決しサービス領域を拡大。電話回線の工事も不要となり導入のしやすさも向上
2 保守業務の迅速化・サービス品質の向上により、お客様とのリレーション強化や他社差別化に繋げたい 高度なセキュリティを確保しながら、クラウド上で社内、お客様との間で情報の共有を図り、より迅速かつ安心の保守を実現。海外の現場とも国内スタッフがそばにいるかのような連携が可能

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導入の経緯

メンテナンスビジネスに欠かせない遠隔監視を行うテレメンテシステム

空港や駅、病院、ショッピングセンターなどの大型施設における快適な環境に空調は欠かせません。川重冷熱工業様は、ガスなどの熱を利用して空調する吸収冷温水機・冷凍機(大型空調機)のパイオニアです。1959年に国内初の吸収冷温水機を製造して以来、2005年に世界初の三重効用高効率ガス吸収冷温水機の製品化に成功するなど大型空調機の可能性を拓いてきました。

また、同社のもう1つの事業の柱であるボイラ事業は、1899年の初号機製造以来、暖房・給食センター用の小型ボイラから、地域冷暖房・工場向けの大型ボイラまで多様な汎用ボイラを製造、販売しています。業界を牽引する同社は、排熱や太陽熱、工場の生産過程で発生する水素ガスや廃油の利用など環境性能の追求に積極的です。また東南アジアを中心としたグローバル展開を推進しています。

同社の製品ライフサイクルは数十年という長期にわたるため、購入後の点検やメンテナンスなどのサービスがお客様と継続的な関係を築き、ビジネスを拡大していく重要なポイントとなります。「継続して当社製品をご購入いただくため、という観点だけでなく、現在は、お客様への付加価値創出アイテムとしてサービスを位置付けています。そして、サービス価値向上を図るためのツールが、稼働機器の遠隔監視を行うテレメンテシステムです」と、川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 副室長 村上敏則氏は話します。

川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 副室長 村上 敏則 氏の写真
村上 敏則
川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 副室長

テレメンテシステムは、装置に通信機器を取り付けて装置の状態を遠隔監視するものです。電話回線とPHSで運用していた既存のテレメンテシステムは通信面でのトラブルが多く、電波方式の変更をきっかけにシステムの刷新を図ることになりました。

導入のポイント

通信、クラウドサービスなど総合力で「FENICSⅡ M2Mサービス」を採用

川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 課長 河合 良治 氏の写真
河合 良治
川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 課長

既存テレメンテシステムにおける最大の問題は、電波が良好な最寄り基地局が混み合った状態では、接続数の少ない遠い電波不良な基地局を選択するといったPHSの特性により「つながらない」ことでした。「約1,800台の当社製品がテレメンテシステムを利用していますが、年間15,000件もの通信異常が発生し、その対応のための出動が年間200回に及びました。多くの手間やコストを要したことはもとより、お客様との信頼関係を損ないかねないという点が問題でした」と、同社 サービス技術部 課長 河合良治氏は話します。また都市部に利用が限定されることや、お客様の施設内に電話回線の工事が発生する点も課題でした。

運用していく中で、サービス価値向上における新たな課題も見えてきました。「従来、社内の設計者やお客様は、情報の提供を受けるまで、機械の状態はわかりませんでした。新テレメンテシステムでは、高度なセキュリティを確保しながらも、社内はもとより代理店、お客様との間でも情報の共有を実現し、故障対応の迅速化を目指しました。また、海外でも利用を促進するためインターネット経由での接続も必須としました」と村上氏は話します。

新テレメンテシステムの構築、運用パートナーの選定ではコスト抑制とセキュリティを両立するべく、クラウドサービスの利用を条件としました。「プロジェクトチーム以外に、各地域のワーキンググループでも議論を重ねた結果、トラブル時の対応やサポート面を考慮し、通信やクラウドサービスなどオールインワンで対応できる会社に絞りました。安定したサービスの提供を実現できる高い信頼性や安心感、ものづくりのメーカーでありM2Mの豊富な実績や技術力を有するなど、総合的な観点から富士通の「FENICSⅡ M2Mサービス」の採用が決まりました」と、同社 サービス技術部 担当部長 岡野久男氏は話します。

川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 担当部長 岡野 久男 氏の写真
岡野 久男
川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 担当部長

システムの概要と特徴

携帯電話網とクラウドで運用
機械の異常時に1秒ごとにデータ送信

2012年11月にプロジェクトを開始し、2013年6月に「FENICSⅡ M2Mサービス」の採用を決定、サービス開始は2014年5月頃を予定しています。

川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 ボイラグループ 課長 松宮 純 氏の写真
松宮 純
川重冷熱工業株式会社 営業・サービス総括室 サービス技術部 ボイラグループ 課長

新テレメンテシステムは、携帯電話網とクラウドで運用します。「携帯電話網の整備は進んでいるので、過疎地でもテレメンテサービスの利用が可能です。また、お客様の施設内での工事を必要とせず、サービスを利用するだけの手軽さはエンドユーザー様にテレメンテシステムを採用いただくメリットにつながります」と、同社 サービス技術部 ボイラグループ 課長 松宮純氏は話します。

データの精度も大幅に向上します。従来は1日1回データを集計し1週間分まとめて送信されていましたが、これからは1分ごとに1回データ収集が行われます。異常データがある場合は1秒ごとにパラメーターも含めて機械の内部データが収集され、機械の状態をリアルタイムに把握できます。またお客様のニーズに合わせて監視とコントロールが可能です。

お客様の「やりたいこと」を実現していくために、お客様と一緒に要件定義を詰めていくプロセスでは「FENICSⅡ M2Mサービス」のノウハウや技術力が活かされています。「細かいインフラの仕様を考える必要はなく、当社が提供するサービスの中身を考えることに集中できました」(村上氏)。

新テレメンテシステムは今後、同社製品の標準オプションとして展開していきます。また既存システムの切り替えも進めており、急速な事業の拡大に合わせてキャパシティ、コストの最適化が図れるのもクラウドサービスのメリットです。

川重冷熱工業株式会社様のシステム構成図です。携帯電話網とクラウドサービスを利用した新テレメンテサービスは、遠隔地からも機械の状態をリアルタイムに把握可能。社内はもとより代理店やサービス拠点、お客様との間で情報を共有することで故障対応の迅速化を実現し、サービス価値向上を図りました。

導入の効果と今後の展望

新テレメンテシステムを中心に情報の共有による業務改革を推進

新テレメンテシステムの導入は保守業務自体の変革を促します。「いままでは、サービスエンジニアが現場に出向き、その場で対応ができなければ設計に相談するといったステップがありました。これからは、設計者も新テレメンテシステムを通じて機械の状態をリアルタイムに把握でき、保守の精度向上や迅速化が図れます。海外に設置した機器であっても、国内スタッフがその場にいるかのような連携が可能です。さらに新テレメンテシステムを中心にサービス業務改革を推進していくことがサービス価値向上に繋がります」(村上氏)。また、従来、現地で1台1台実施する必要があった設置機器側のプログラミング変更も、今後はクラウド上で一括して行えるため、業務の大幅な効率化を実現できます。

既存テレメンテシステムは、運用管理者を必要としない大型空調機において、運用監視をサポートする目的で利用されていましたが、新システムではボイラでの利用も期待されています。「新テレメンテシステムは手軽に利用できるため、小さなボイラや中規模ボイラなどの効率的な運用監視に有効です。また、利用状況が画面で簡単に確認できるので、エネルギー監視装置の代用にもなります」(松宮氏)。

今後の展望について「機械の故障を未然に防ぐ故障予知などのサービスも視野に入れています。また、お客様とのコミュニケーションの場としても活用し、お客様の声をより迅速に改善に向けた取り組みに活かしていきたいと思います。『いつでもどこでもつながり見える安心』を実現するのが新テレメンテシステムです。富士通にはサービスの安定提供はもとよりアプリケーションのユーザーインターフェース向上やデータ分析技術など様々な提案も期待しています」と村上氏は話します。

冷熱技術を活かし暮らしや産業を支える同社のさらなる成長を、富士通はこれからも「FENICSⅡ M2Mサービス」と先進技術で支えていきます。

営業、SEからの一言

川重冷熱工業株式会社様の製品・サービス向上戦略の1つであるテレメンテアドバンスの構築において、富士通の総合力(「FENICSⅡ M2Mサービス」+「システムインテグレーション」)を評価いただき、採用いただいたことを大変光栄に存じます。
今回採用いただいたソリューションは、機能を容易にアドオンでき、新たな課題にも柔軟に対応できるため、テレメンテアドバンスのさらなる発展の一翼を担うものと自負しております。川重冷熱工業株式会社様の提供する製品・サービスの価値がゆるぎないものとなるよう今後も、真のビジネスパートナーとして、貢献できるよう頑張ってまいります。

富士通株式会社 産業ビジネス本部 エンジニアリング統括営業部 神戸産業営業部 奥本 晋也
株式会社富士通アドバンストエンジニアリング 社会ビジネス本部 M2Mソリューションセンター 関本 和夫

【川重冷熱工業株式会社様 会社概要】
所在地 〒533-0033 大阪府大阪市東淀川区東中島1丁目19番4号
代表者 代表取締役社長 乃村 春雄
創立 1972(昭和47)年3月10日
資本金 14億6,050万円
従業員数 506名(2013年6月末現在)
事業概要 汎用ボイラ、空調機器、吸収式ヒートポンプ等の設備およびそれらの部品の設計、製造、据付、修理、補修、運転保守整備ならびに販売、賃貸借 等
ホームページ 川重冷熱工業株式会社 ホームページ新規ウィンドウが開きます

【導入事例(PDF版)】

用語解説

注1: M2M
M2M(エムツーエム、Machine-to-Machineの略)とは、ネットワークに繋がれた機械同士または機械と情報システムが、人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムです。

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