タイヤを主軸にさまざまな工業製品の製造を手がける横浜ゴム様は、老朽化したPBXの更新とともに創業100周年に向けた中期経営戦略を支えるコミュニケーション基盤の構築を模索していました。統合コミュニケーションシステムの導入は、内線電話のIP化によるコスト削減にとどまらず、将来のプレゼンス管理との連携を見すえたコミュニケーション基盤の構築を実現しました。
[ 2012年4月10日掲載 ]
業種: | 製造業 |
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導入システム: | 統合コミュニケーションシステム、Web会議サービス(SaaS型) Cisco WebEx Meeting Center |
導入期間: | 検討約3年、導入約6ヵ月 |
1 | 新しいコミュニケーション基盤を構築し、社内コミュニケーションの効率化を図りたい | 内線電話のIP化に伴う業務効率の向上に加えて、スケジューラーとプレゼンス管理との連携などの拡張が可能 | |
2 | 内線電話にかかるコストを削減したい | 組織改編に伴うレイアウト変更時の配線コストが大幅に削減。集中管理で今後の保守運用コスト削減の第一歩に |
横浜ゴム様は、各種タイヤ製品を主軸に工業資材、航空部品、ゴルフ用品などを製造・販売しているゴム製品メーカーです。
同社の製品について、広報部 広報・IRグループ 担当課長の木下 久武氏は、次のように語ります。「乗用車用タイヤでは、フラッグシップブランドの「ADVAN」、低燃費タイヤの「BluEarth」、スタッドレスタイヤの「ice GUARD」など数多くのブランドを製造しており、米国専門誌の調査では世界7位のタイヤメーカーとしてランクされています。また、世界最高峰のツーリングカーレースとして世界中で人気のWTCCでは、当社だけがタイヤ供給を行うワンメイク指定を受けており、品質面で高く評価されています」。
木下 久武氏
横浜ゴム株式会社
広報部 広報・IRグループ
担当課長
また、タイヤ製品以外でも、コンベヤベルトやマリンホースといった工業資材、六本木ヒルズや東京ミッドタウンを始めとする多数の高層ビルで採用された実績をもつ接着剤・シーリング材、防水材のブランド「ハマタイト」、産業機械で油圧装置を稼動させるための高圧ホース、ボーイング社の航空機で採用されているラバトリーモジュール、各種ゴルフ用品など、多岐にわたる製品を製造しています。
同社では、2017年度に迎える創業100周年に向けて、中期経営戦略「GD100」を掲げ、独自の存在感をもつグローバルカンパニーを目指しています。
2006年、長年にわたって利用してきた同社の構内交換機(PBX)は、迫った保守期限を前に更新に向けた検討が始められていました。
携帯電話の登場により重要性は低くなったとはいえ、依然として固定電話は企業にとってのライフラインであることに変わりありません。しかし、当時のPBXは保守も限界に達しており、トラブルに備えたリスク回避への対応が急務となっていました。
同社の情報システム部技術グループ リーダーである菅原 英人氏は「今まで利用していたPBXでは、以降に登場した新しいサービスを導入することが難しく、当社が掲げるGD100の実現を支える新しいコミュニケーション基盤の構築が求められていました」と、当時を振り返ります。
菅原 英人氏
横浜ゴム株式会社
情報システム部
技術グループリーダー
2006年から費用対効果を中心に検討を重ね、2010年1月に複数のベンダーによる提案の中から富士通の提供する統合コミュニケーションシステムの導入を決定しました。
本システムのコール管理製品「Cisco Unified Communications Manager」(以下、CUCM)について、菅原氏は「コール管理製品の中でも実績が豊富で、安心して導入できる点が決め手になりました」と語ります。
また、同社の情報システム部 部長の岡 正之氏も「富士通と大興電子通信による提案が機能的にもコスト的にも他社のものよりも優れていたのに加え、当時利用していたPBXのサポートを通して両社が当社のネットワークを熟知してくれている点、細かい要望に対しても適切なソリューションを提供してくれる点が後押しとなりました」と語ります。
岡 正之氏
横浜ゴム株式会社
情報システム部
部長
菊池 靖之氏
ハマゴムエイコム株式会社
システム技術本部 システム運用部
CUCMは、本社用(本社内設置)と工場系用(FIPデータセンター内設置)が相互でバックアップを行い、負荷分散と冗長化を実現しています。
2010年4月より本社にある600台の内線電話をIP電話に置き換え、2010年10月より利用しています。
続いて、2011年5月に愛知県の新城工場にある200台、2011年10月に平塚製造所の1,200台の置き換えを完了。今後は三重工場、三島工場と順次置き換えを行い、最終的には2013年までに全社の内線電話のIP化を完了する予定です。
同社のシステム管理を担当するハマゴムエイコム株式会社 システム技術本部 システム運用部の菊池 靖之氏は、運用において注意している点について「音声のIP化により、ネットワークの新規導入やメンテナンスを行う際は、スケジュールを事前に周知することでトラブルを防ぐようにしています」と述べています。
導入の効果について、菅原氏は次のように語ります。「IP化したことで、旧来の内線電話と異なり、組織改編に伴うレイアウト変更の際、配線にかかる手間が大幅に軽減されました」。
また、「外へ出ることが多い営業部門には携帯電話を支給しています。この携帯電話にFMCサービス(注1)を適用しました。内線通話にも利用できるので、携帯電話さえあれば内線用の固定電話を用意しなくても十分という社員が多くいます。今回の導入を機に適正な台数を割り出したところ、1,000台あった本社の電話を600台程度にまで減らすことができ、導入コストの削減につながりました」(岡氏)といった効果もありました。
さらに、菅原氏は「これまでPBXは拠点ごとに8ヵ所に分散しており、それぞれで管理を行っていました。現時点では、まだ全社への導入途中であるためコスト試算は行っていませんが、今後は集中管理による管理コスト削減の効果も期待しています」と語ります。
同社では、統合コミュニケーションシステムの導入を新しいコミュニケーション基盤構築の一歩ととらえています。
菅原氏は「今後は、スケジューラーとプレゼンス管理機能を連動させることを検討しています。相手のプレゼンスを確認し、通話可能ならクリックtoコールで通話、通話できないならメールやショートメッセージというように、状況に適した連絡ができるようにして、より確実なコミュニケーションを行えるようにしたいと考えています」と語ります。現在施行に向けて、これらの機能を実現するコラボレーションツール「Cisco WebEx Connect」を100名で先行導入しています。
さらに同社では、Web会議サービス「Cisco WebEx Meeting Center」の導入も検討しており、「出張にかかるコストの削減は言うまでもないですが、音声だけでなく画像や動画を利用することにより、より迅速で確実な意思決定につなげることができます」(菅原氏)。
Cisco WebExサービスなどと合わせて利用することで、統合コミュニケーションシステムは企業戦略を支えるコミュニケーション基盤としてさらなる効果を生み、お客様のビジネスの効率化やスピード化に貢献いたします。
富士通はこれからもお客様に最適なコミュニケーション基盤の構築を支援してまいります。
村瀬 弘光氏
大興電子株式会社
インフラビジネス営業統括部 ネットワーク営業部 営業一課長
横浜ゴム様は長年のPBXユーザーであり、非常に大切なお客様です。
既設PBXは導入後かなりの年数が経過しており、保守部品の調達もできない状況でしたが、自前で保守部品をストックするなどして特別に保守対応を継続してまいりました。
提案にあたってはお客様のご要望にお応えするため富士通殿にもご協力をいただき、無事受注することができました。
富士通グループのSE力と、弊社先輩方々の長年にわたる実績をご評価いただいた結果だと思います。
今後2013年を目標にIP化展開を行ってまいりますが、富士通グループ及びお客様含め、より関係を強化しながら確実に進めて行きたいと思います。
代表者 | 代表取締役社長 野地 彦旬 氏 |
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所在地 | 東京都港区新橋5丁目36番11号 |
設立 | 1917年10月13日 |
資本金 | 389億900万円(2011年3月末現在) |
社員数 | 18,465名(2011年3月末現在・連結) |
事業概要 | タイヤ、工業品などの製造販売 |
ホームページ | 横浜ゴム株式会社 ホームページ |
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