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災害情報の一元管理、多彩なメディアへの一斉配信を実現
「防災・防犯情報共有システム」が災害に強いまちづくりを支える

奥州市様 市庁舎外観

奥州市様 導入事例


岩手県奥州市様は、東日本大震災時の教訓を踏まえ、「防災・防犯情報共有システム」の構築に着手しました。市民の情報受信率を高めるために多彩なメディアの活用と、災害被害情報の収集、一元管理の2つのポイントに加え、災害時に円滑な利用を可能にする運用、保守面も重視し、構築パートナーに富士通を選定。2013年7月に本稼働後、大雨や台風時に同市職員はスマートフォンのカメラ機能による情報収集を含めた災害情報の管理を行い、状況把握や対策の迅速化と情報発信の充実を図っています。

[ 2014年2月6日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 自治体
ソリューション: 公共システムを支えるネットワーク製品
PDF FUJITSU Public Sector Solution 総合防災情報システム (555KB / A4・2ページ)
構築期間: 約7カ月
【課題と効果】
1 災害時における市民の情報受信率を高めたい 多彩なメディアへの情報の一斉自動配信により、職員の負担を軽減しつつ、いつでもどこにいても市民が災害情報を入手できる環境を実現
2 様々な災害情報を一元管理したい 全国瞬時警報システムから送信される気象情報や有事関連情報に加え、市職員が収集した情報なども一元管理。市、支所、避難所をネットワークで結び情報の共有を実現
3 職員と市民にシステムの定着を図りたい 気象情報や有事関連情報に加え、今後、熊の出没情報、道路の陥没といった道路情報、防犯情報などの情報発信を行うことで、平常時からシステムを活用する習慣を普及

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導入の背景

協働のまちづくりは災害に強いまちづくり

世界文化遺産「平泉文化」の源流の地、奥州市。黄金文化の礎となった数多くの史跡、当時の産業技術を現在も受け継ぐ南部鉄器などを通じ、平安時代を身近に感じることができます。奥羽山脈や北上川に抱かれた豊穣な大地に育まれた、前沢牛、江刺りんごなど名産も豊富です。また同市は大型加速器を用いた素粒子物理学の研究施設「国際リニアコライダー」の有力な建設候補地として世界から注目を集めています。

歴史、自然に加え、新たな産業の可能性への期待が広がる奥州市は、「地域の個性がひかり輝く自治と協働のまち 奥州市」を目指し、市民と行政が相互理解のもと役割分担をする地域コミュニティとの協働によるまちづくりを進めています。協働によるまちづくりの支援は、次期情報化計画の策定においても大きな柱となっています。

奥州市 総務企画部 政策企画課長 兼 地域ビジネス推進室長 渡辺 和也 氏の写真
渡辺 和也
奥州市 総務企画部
政策企画課長
兼 地域ビジネス推進室長

「ICTを活用し、市と市民が双方向でコミュニケーションしながら、市民が市政に参画し故郷の役に立つことを実感できる仕組みづくりに力を注いでいます。また、2006年に5つの市町村が合併し誕生した奥州市は面積が広く、ICTを駆使した情報提供により、情報のタイムラグや暮らしの利便性の差を埋めていくことも重要なテーマです」と、奥州市 総務企画部 政策企画課長 兼 地域ビジネス推進室長 渡辺和也氏は話します。

協働のまちづくりは災害に強いまちづくりにもつながります。市民の市政への参画で欠かせないものに災害対策があるからです。奥州市は、東日本大震災の教訓を踏まえ、2012年、「防災・防犯情報共有システム」の開発に着手しました。

導入のポイント

情報発信と情報収集をポイントに運用、保守面も重視

地震などの災害対策において情報は生命線となります。しかし、東日本大震災では「情報発信の手段が限られてしまい、本当に必要な情報をタイムリーに提供できませんでした。情報システムは停電でダウンして動かない。広報車もガソリン不足に加え、広大な面積の奥州市においては、その全域をカバーすることは難しい。電話が不通となった避難所とのやりとりは人手に頼るしかありませんでした」と、市民環境部 危機管理課 主任 菊池知之氏は振り返ります。

災害時、より多くの市民に情報を届けるためには多彩な伝達手段の活用が不可欠です。なかでも携帯性に優れ、普及率の高いスマートフォンの活用は重要なポイントとなります。また、情報発信と表裏一対をなす情報収集の課題も同時に解決することが必要でした。

奥州市 総務企画部 政策企画課企画推進係 主任 菊地 徳行 氏の写真
菊地 徳行
奥州市 総務企画部
政策企画課企画推進係
主任

「大震災のときは被害状況の収集に多くの時間を要しました。また、住民からの電話応対時に職員が作成したメモ書きをどうすればいいのか、統一したルールもありませんでした。迅速かつ的確な情報収集と、収集した情報の一元管理を実現しなければ情報発信も行えません」と、総務企画部 政策企画課企画推進係 主任 菊地徳行氏は話します。

「防災・防犯情報共有システム」のプロジェクトは、同市の政策企画課、危機管理課、情報システム係が一体となって進めました。2012年12月には構築パートナーとして富士通を選定。その理由について「充実した情報発信はもとより、様々な部門に寄せられる情報を集約する仕組みの高い完成度が決め手となりました。また、災害時に活用するシステムですから、運用のサポートや保守面も重視しました。奥州市に富士通の拠点があることもとても心強く思いました」と菊地徳行氏は話します。

システムの概要

災害情報の一元管理により迅速な状況把握や市民への確実な災害対策を実現

2013年1月から構築をスタート。現場の使いやすさが運用に大きく影響するため、現場レベルでのチェックと、それに対する富士通からの提案・改善を積み重ね、2013年7月に本稼働を迎えました。

「防災・防犯情報共有システム」は、情報の収集、共有、伝達の3つの柱で構成されています。全国瞬時警報システム(通称、J-ALERT:ジェイアラート)から送信される地震、津波、各種警報・注意報などの気象情報と、大規模テロなどの有事関連情報に加え、奥州市職員が収集した被災被害状況などの情報をシステムで一元管理。それら一元化された情報は、同市の行政ネットワークで結ばれた本庁、総合支所、避難所などで共有します。また避難勧告や避難所開設、避難者や被害状況などの情報は、防災ポータル、地域情報配信サービス、テレビ放送、奥州市公式SNSなどへ一斉に自動配信されます。

2013年7月末の大雨のとき、奥州市の公式Facebookに災害情報を流したところ、1,000人以上の方が閲覧し、同時期の他の投稿の倍以上のアクセスがあり、これを契機に一気にフォロワーを増やすことができました。「新しいメディアを使ったコミュニケーションの可能性を感じました。また、現在、被害状況を入力する職員から項目追加の要望も多数寄せられており、当初、災害時の緊急対応ということで、できるだけ入力項目を減らしてシンプルにしていましたが、現場の運用に配慮した改善を行いたいと考えています」(菊地徳行氏)。

奥州市様「防災・防犯情報共有システム」のイメージです。本システムは、災害情報を一元管理し、奥州市の災害対策本部での迅速な情報把握や市民への確実な情報提供を可能します。

導入の効果と今後の展望

写真や地図など視覚的な情報を扱えるメリットは予想以上

本稼働から4カ月が経過し8つの災害に対し同市職員から1,000件の情報登録がありました。「従来、被害状況をどういう方法で報告すればいいのか、各課で迷っていたところがありましたが、このシステムに登録すればいいことが浸透してきました。また、災害状況の全庁的な把握が可能となり、一元化された情報のもとで災害対策の意思決定をより迅速かつ的確に行えます」と菊池知之氏は話します。

職員の災害報告はスマートフォンのカメラ機能を利用できるうえ、登録した情報を地図上に一覧表示が可能です。メールに添付した写真データには位置情報が含まれるため、場所を言葉で説明する必要もありません。「被害報告の多くは写真が添付されるようになりました。写真を見れば被害状況が一目瞭然です。視覚的な情報が扱えることは予想以上にメリットが大きいですね」(菊地徳行氏)。

奥州市 市民環境部 危機管理課 主任 菊池 知之 氏の写真
菊池 知之
奥州市 市民環境部
危機管理課
主任

2013年9月には「防災・防犯情報共有システム」を中心とする訓練も実施されました。「入力の仕方だけでなく、他の避難所や被害の状況といった情報を共有できる点も説明しました。これからも同様の訓練を実施していきます」(菊池知之氏)。

今後の展望について「市民に『防災・防犯情報共有システム』の周知を図ることが大きなテーマです。現在提供している気象情報や有事関連情報に加え、今後、熊の出没情報、道路の陥没といった道路情報、防犯情報などの情報発信を検討しています。平常時から職員と市民がシステムを活用することで、災害時の円滑な運用、市民の情報受信率の向上を図ることが目的です。富士通にも常日頃から災害時を見据えた保守や運用のサポートをお願いいたします」と渡辺氏は話します。

「防災・防犯情報共有システム」は、災害時はもとより平常時から行政と市民の架け橋としての役割を果たしていきます。

集合写真 写真左から 奥州市 渡辺 和也 氏、阿部 記之 氏(総務企画部 総務課 情報システム係長)、菊地 徳行 氏、菊池 知之 氏
(左から)奥州市 渡辺 和也氏、阿部 記之 氏(総務企画部 総務課 情報システム係長)、
菊地 徳行 氏、菊池 知之 氏

集合写真 (写真中央)奥州市 菊地 徳行 氏、(写真左)富士通株式会社 岩手支店 課長代理 一宮 靖明、(写真右)富士通株式会社 セキュリティソリューション本部 第三ソリューション事業部 下田 雅和
(中央)奥州市 菊地 徳行 氏
(左)富士通株式会社 岩手支店 課長代理 一宮 靖明
(右)富士通株式会社 セキュリティソリューション本部 第三ソリューション事業部 下田 雅和

【奥州市様 概要】
所在地 岩手県奥州市水沢区大手町一丁目1番地
総人口 124,746人(平成22年国勢調査)
面積 993.35平方キロメートル
概要 水沢市、江刺市、前沢町、胆沢町、衣川村の5市町村が合併し、2006年2月20日に誕生。全国的に有名な農産物を生産する県内屈指の農業地帯であるとともに、交通の利便性の良さを背景に商業集積が進み、伝統産業や基幹産業の事業展開が図られている。また歴史的に貴重な史跡も数多く残っている。
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