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FUJITSU ビジネスアプリケーション JoinGear
JoinGear導入物語 第12話

第12話  災害対策にも役立つJoinGear

スマートフォンに助けられた帰宅難民

3月11日の東日本大震災からすでに5日たった。日本は一体どうなるかという漠然とした恐怖心は薄らぎ、世の中も復興に向けて活動を開始した。ひろみの会社では被害をほとんど受けなかったが、今後のことを考えると、この機会にしっかり点検しておく必要がある。そこで、自由討議の名目で防災対策メンバーを集めた。

「今日来てもらった理由は、先日の経験を皆で共有し、次の災害時に役立てること」と、伊藤部長が口火を切る。効率的な議論ができるよう、事前にテーマを分けておいた。
「最初に、地震が起きてから帰宅開始までの問題点を洗い出そう」
本郷が手をあげた。
「館内放送にしたがって階段で外に出たけど、蛍光灯が落ちていたのにはびっくり。対策が必要ですね」
「それから、安否確認のメールにすぐ回答したけど、小雨でオフィスに戻るまで何も指示がない。つい1週間前に訓練したばかりなのに、音頭をとるひとがいない。携帯電話やスマートフォンのワンセグテレビは役立った」とひろみが続ける。的確な指示に関しては、同調する意見が続いた。

部長はうなずき、話題を帰宅問題に切り替える。
「なんと6時間かけて帰宅した人もいたと聞いたよ、ひろみさんだったかな」
「そう。たまたまメーカーの枝里子さんが来ていて、同じ方角だったので、二人で一緒に。家まで15キロほどだけど、二人ともジョギングが趣味なので楽勝でした」
「えーっ、神奈川県は停電で真っ暗だったけど、本当に帰れたの」と本郷が感心する。
「枝里子さんが手に入れたばかりのスマートフォンで、現在地と地図を照らし合わせながら帰れました。しかも最短距離でね。車の照明を頼りに交通量の多い道路を選んだけど、歩道側は真っ暗なのでとても怖かったわ。でも、最後はバスに拾われて少し助かりました。それから、週末に会社のJoinGearに入ってみたら、人事から月曜の出社案内がありましたね」

部長がここで質問をはさんだ。
「なになに、スマートフォンでJoinGearに入れるって。パソコンと同じに使えるのかな」
「ブラウザ機能がパソコン並みとはいかないので、添付資料などは利用できませんけど、あとはほとんどOK」と言われて、皆でAndroid端末をのぞきこむ。
「JoinGearの画面がきれいだねぇ。REGZA Phoneか。これなら使えるよ」と、本郷も太鼓判を押した。何を隠そう、半年前から本郷はAndroid派になっている。

緊急の特別プログラムが役立たない

その頃、メーカーの三田は枝里子たちと一緒にウンウン唸っていた。大震災の週明けに、「クラウドのサービスを活用して、被災者や被災企業に何か継続的な支援ができないか」と課長から課題を与えられた。もう水曜日だ。担当するJoinGearとJoinDisk、Fenicsメールについては、初期費と3カ月の利用を無償提供するプログラムを企画した。これらは他の特別プログラムと一緒に異例のスピードで決裁され、夕方には会社の公開ホームページに掲載された。掲載を待たず、JoinDiskとFenicsメールについては、すでに支援依頼があった模様だ。

JoinGearに最初に問い合わせがあったのは、被害の大きかった製造業の業界団体。この業界の部品企業は東北から関東地方に展開しており、甚大な被害を受けたところも多い。どこかの部品企業が被災して部品の供給が滞ると、いくつものメーカーが影響を受ける。そこで部品企業の被災状況を業界として把握し、復興支援で協力体制をとることになった。ここで利用する被災報告書は、何度も議論を重ね、共通フォーマットを利用することで決着した。
三田が担当営業と一緒に呼ばれたのは、この段階である。
「EXCELで作った共通フォーマットを、各社で自由に出し入れする場所が欲しい。ただし重要情報なので、セキュリティは必須要件」と言われたが、すでに問い合わせがあった段階でJoinGearのサイトは構築済み。簡単に説明したところ、イメージが合致して、その場で採用を決めていただいた。

その他の問合せは無難に対応できたが、困ったのは5件目である。
「隣の県の救急サービス網が手一杯で、うちの県で患者を受け入れることになった。でも、県内の救急病院に振り分ける作業がネックで、なかなか搬送作業が進まない」
と担当営業が電話で頼ってきた。
「クラウドの特別プログラムで何とかなりませんか。昔からのお客様なので、恩返ししたいのです」と言われても、お客様の要件が明確でなければ対応できない。でも忙しすぎて、お客様に会う時間を取っていただけない。三田にしてみれば、支援できないことがもどかしい。そこで次の週末を利用して、救急作業の振り分け業務をJoinGearで作りこんでみた。もちろんインターネットで調べながら、勝手に想定した手順である。時々刻々変わる搬送データを入力し、関係者で最新情報を共有するには、WebDBが最適と考えた。振り分け用の患者データシートを簡単に作り、県内の救急病院を探し出して登録し、患者の発生から救急病院に振り分けるまでの一連の手順を作ってみた。いつの間にか夜が明けている。これを材料にお客様と話をすれば、イメージ合わせが容易になり、最適なシステムを短時間で構築できるはず。しかしお客様を訪問できない。無理を承知で営業から問い合わせてもらったら、「目の前の仕事が忙しく、とても検討している時間はない」という回答が来た。まさに打つ手がない。

クラウドのJoinGearを使って災害対策

三田にしてみれば、週末をつぶして用意したサイトを使っていただけなかった虚しさが残った。
そこで、「いざという時に、JoinGearで役立てる方法はないだろうか」というテーマで、枝里子たちと企画会議をすることにした。

「最初はネットワークインフラから」と三田は言いながら、社内ネットワークや電話にバツ印をつける。
「これはインターネットしかない。1960年代後半にインターネット技術が生まれた時からタフなネットワークを目指してきた。阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも大活躍した」として先に進む。
「先月のコンピュータ誌がいい特集を組んでいる。セキュリティ強化のために個人持ちパソコンを仕事に使うなという企業方針が、最近は少し変化しているそうだ」
「じゃあ、個人のパソコンとかスマートフォンを仕事で活用していいの」
枝里子は、スマートフォン派に切り替えたのに、けげんな顔をしている。
「ガラパゴスと言われている携帯の方がまだ多いし、JoinGearで提供しているiモード対応を利用する方が有効ではないですか」
それには答えず、三田は「僕がスマートフォンを勧める理由は三つある」と持論を展開した。
「すでにiPhoneを加えたスマートフォンは、新規契約数の過半数を越えている。それにiPhoneとAndroidのブラウザの機能差は意外と少ない。じつは両方ともJoinGearのほとんどの機能を利用できる。さらに、JoinGearユーザに対するアンケート結果によると、実際にiモードを使っているケースはほとんどない」と言い切った。
三田がコーヒーを取りにいっている間に、枝里子は自分の考えをまとめてみた。確かにスマートフォンで使うJoinGearは快適そのもの。スケジューラや回覧板、ワークフローの決済まで、パソコンとまったく同じ画面でストレスなく操作できる。しかも、インターネットがあれば、日本中どこでも使える。まるで新しいサービスが提供されたようだ。これを活用しない手はない。

ここまでは、すんなり決まった。問題は次のテーマ「事前準備」である。
三田も枝里子も少しラフな恰好をしている。お客様訪問のない日だ。
「先日の大震災の特別対応でつくづく感じた。お互いの歯車がかみ合えば大きな力が伝わるのに、片方の歯車がすり減っていたら何も伝わらない。お客様自身が準備していないと、その場でいくら支援しても無駄骨に終わる」といいながら、頭を抱えてしまう。
「具体的にはどうしたらいいの」と、枝里子にもアイデアがない。
窓外に青空が大きく広がる。3月にしては、空が澄み切っている。

そこに、会議を終えた部長が通りかかる。
「そうだ。大事なのは、お客様に事前準備をしていただくことだ。ひな形を用意して、『これを準備すれば安心できる』という道筋を示すことが重要ではないか」と、アドバイスをくれた。すかさず枝里子が合いの手を入れる。
「分かったわ。今回の大震災を教訓に、お客様自身がすべきことを洗い出して、メニュー化すればいいのね」
三田もすばやく反応した。
「そうだ。今までJoinGearは組織効率化に役立つ道具として、『情報共有のしくみ』を提供してきたけど、それではいけない。今回は、あらかじめ想定される要件を事前に洗い出して、『災害対策用のひな形コンテンツ』を用意することが大切だ」

ここまでで一時間。「そろそろ終わりに」と思いながら黒板を見て、三田は忘れものに気付いた。
「そうそう、忘れてはいけない。この提案はいざという時のための保険だから安くないといけない。JoinGearでできることを積み上げると不必要に高くなるから、逆に、『お客様の必要要件を最小コストで実現するには、どうすべきか』という発想をしないといけない。メールなどは既存のものを使えばいいし、携帯メールなども有効に活用できる。スケジューラや施設予約、さらにワークフローやデータベース機能などもあれば便利だけど、必要になった時点で数カ月だけ契約を追加すればいい。そうすれば、普段のコストは大幅に下げられる。そういえば、JoinGearのあるお客様では10万人の社員を抱えて全国にスーパーやコンビニを展開しているけれど、普段の契約数は150だけでしかない。これを利用して、中越地震や鳥インフルエンザ、口蹄疫などを乗り切ってきたと聞いている」
三田の長い演説を聞くうちに、枝里子に自信が戻ってきた。「じゃあ、明日までに企画書を作ります。名前は『JoinGearの災害対策ソリューション』でいいですね。早くまとめないと、忘れてしまう」

流れる雲を見上げながら、三田は別なことを考えている。「新しい企画は、最初にひろみさんの会社に提案しよう。この間は弱気な面を見せてしまったから、今回は挽回するチャンス。そうだ、お茶に誘って味方にしておくかな」

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