高速道路の休憩や給油拠点であると同時に、交通状況や沿線の観光案内など、様々な情報を発信できる場所がサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)です。東日本高速道路株式会社(以下、NEXCO東日本)関東支社様では、これらのSA・PA約50カ所にクラウド型デジタルサイネージシステムを導入。配信情報の統合管理作業の大幅軽減、システムメンテナンスフリーなどのメリットを得て、配信情報の質的向上を実現しています。
[ 2014年4月8日掲載 ]
業種 | 道路事業 |
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ソリューション | FUJITSU Business Application デジタルサイネージサービス |
導入期間 | 約4.5カ月 |
規模 | 約50カ所 |
多数の「お知らせモニター」に対するコンテンツの統合管理を行うとともに、情報配信・システム運用保守作業を大幅に軽減したい | ![]() |
複数モニターのコンテンツスケジュールを統合管理するクラウド型システムの構築、配信・運用保守業務をアウトソーシングし、業務を軽減 |
SA・PAの「お知らせモニター」に、緊急時の行動計画を支援する情報の割込み配信を簡単にオペレーションできるようにしたい | ![]() |
クラウド型デジタルサイネージシステムに、簡単に操作できる割込み配信機能をカスタマイズで付加。誰でも容易に操作対応可能に |
NEXCO東日本グループは、新潟県および長野県の一部を含む関東以北の高速道路の管理運営事業、建設事業、サービスエリア事業および高速道路関連ビジネスを展開しています。
NEXCO東日本・関東支社様は、関東地域を中心に約1,300km、一日当たり約200万台の高速道路をいつでも安全・安心・快適・便利にご利用いただくよう、高速道路のプロ集団として24時間、365日、管理運営しています。また、地域の発展と暮らしの向上につながる高速道路ネットワークの整備を効率的かつ着実に進めるといった建設事業を、各地で精力的に進めています。さらに、サービスエリア(以下SA)・パーキングエリア(以下PA)において地域と連携しつつ地元の特色を活かしたユニークな店舗づくりを通じた多彩なサービスのご提供のほか、お客様の利便性を高める様々なビジネスを展開しています。
NEXCO東日本・関東支社管轄エリア内のSA、PAは約110カ所。高速道路を利用する際の休憩や食事、車の点検・給油など、リフレッシュのためのこれら施設は、沿線の行楽案内、周遊プランのほかに道路交通情報や道路工事の予定、交通安全広報など様々な情報の発信場所となっています。これらの情報はポスターやチラシ、最近では大型モニターによって発信されていましたが、各々の休憩施設が独自に提供していたため、設置場所や提供内容、更新頻度などが統一されていませんでした。
NEXCO東日本・関東支社様では、こうした情報の不統一感を払拭し、お客様にわかりやすくお知らせするために、道路関連情報を集約した情報コーナーを約50カ所の休憩施設に整備することにしました。
高速道路の主な休憩施設に設けられた情報コーナー
左から、道路工事の予定など道路関連広報を伝える「お知らせモニター」、最新交通情報を刻々と伝える「交通モニター」、「ポスター掲示板」の配置。
お知らせモニターと交通モニターを併設することで、リアルタイム交通情報を見ながら、工事規制予定や緊急支援情報を確認できる。
「お知らせモニター」では、交通安全啓発など広く注意を促すお知らせや周遊プランのように地域を限定したお知らせのほか、道路工事の予定など路線や期間を限定したお知らせなど多種多様な情報を扱います。従って、お知らせ情報の内容によって配信するSA・PAや配信時間を自在に選択できるシステムが必要となります。
また、休憩中のお客様が「お知らせモニター」に視線を向けるのは、休憩中のごく短時間だけと考えると、多くのお知らせ情報を同時に表示できる画面構成が求められました。
さらに、「お知らせモニター」の最も重要な機能として、緊急割込み表示機能を付与することとしました。休憩施設は前述のとおり高速運転のリフレッシュの目的で利用されますが、緊急時は一時避難の場所としても利用されます。例えば、事故や災害で通行止が発生した場合、走行中のお客様は通行止解除までの時間調整の場所として、あるいは、この先の旅行計画の検討する場所として休憩施設を利用することになります。その時にお客様の行動計画の変更や時間調整の判断を支援するのが緊急割込み情報です。この情報表示は、通常表示するお知らせ情報よりも優先されなければなりません。また、必要があれば、いつでも、どこからでも、表示できる仕組みを必要とされました。
NEXCO東日本・関東支社様からの期待は、多数の「お知らせモニター」に対するコンテンツの統合管理とアウトソーシングによる情報配信・システム運用保守作業を大幅に軽減することでした。「お知らせモニター」の多種多様かつ大量の情報を、地理的に離れた多くの休憩施設の、複数に分割したモニターで、提供場所や提供時間を自在に選択し表示するには、統合的に管理できるシステムで運用負荷を低減させる必要がありました。そのため、インターネットを活用したクラウド型デジタルサイネージシステムを採用しました。
最近では、全国どこでも通信可能と思われているインターネットですが、関東平野部の休憩施設から山岳部の休憩施設では通信環境に大きな隔たりがありました。これらの環境に合わせて、光回線・携帯電話回線、Wi-Fiなど柔軟な通信対応を行うことで、インターネットを円滑に活用可能なものとしました。また、無線通信を使用した場合に課題となる、通信速度低下による「お知らせモニター」画面の更新の遅延に対しては、データ分割送信方式や端末蓄積方式により、スムーズに更新するよう工夫しています。
お知らせモニター画面は、お客様に見やすくしかも多くの情報を表示できるように、様々な画面構成を考えました。全画面表示から5分割表示の選択肢の中で、メイン・サブ・天気予報2ブロックの4分割画面を通常モニター画面として採用。また、モニターに表示する提供素材は当初想定した静止画素材や、動画素材だけでなく、将来の汎用性の広がりを想定してWeb画面の表示も可能となるよう工夫しました。
「お知らせモニター」の通常画面構成
このほかに3つのタイプが用意されている。
お知らせモニターの目的として、NEXCO東日本・関東支社様からも、「緊急時の行動計画を支援する情報の割込み配信を簡単にオペレーションできるようにしたい」との大きな期待が寄せられていました。
緊急割込み情報は、文字通り緊急時にお知らせするものですから、すばやくお知らせすることが重要です。また、緊急事態はいつ起こるかわかりませんから、割込み情報の配信者を固定することができません。つまり、誰でもが操作できなくては、緊急割込み情報を効果的にお知らせできないと考えました。
以上の機能要件から、緊急割込み機能は可能な限りシンプルな操作性を重要視しました。
操作性の工夫では、実際の表示イメージで入力できるようにしたこと、過去の提供内容を利用して編集できるようにしたこと、あらかじめ提供をイメージしたテンプレートを準備したことなど、実際の提供場面を想定した工夫を加えることができました。
また、提供画面の工夫では、より多くのお客様にご覧いただきたい情報ですから、注意を引きつけ、足を止めて見てもらえる表示の工夫を行いました。お知らせモニターは、お客様の休息を妨げないよう無音運用が想定されていましたので、音で注意をひきつけることはできません。数多くの画面デザインを試作し、表示の反転や明滅なども取り入れて、緊急介入画面を作成しています。
「お知らせモニター」の緊急割込み画面構成
シンプルな白色背景に赤枠、「緊急情報」の文字が反転して注意をひきつける。
NEXCO東日本・関東支社様の協力と指導によりシステム検討・構築を進めたお知らせモニターは、パートナーである都築電気の経験豊富な機動力により、わずか5カ月で50カ所の整備を行い、3月下旬から試行運用、4月から運用を開始しました。
お知らせモニターの運用効果は、試行運用時から現れました。緊急割込み情報に注目し見入っている多くのお客様の姿に、緊急割込み情報の効果と重要性を実感することができました。
三芳PA(下り)に設置されたデジタルサイネージ
緊急割込み情報に集まるお客様の様子。
運用開始により、50カ所あまりの休憩施設お知らせモニターのコンテンツ管理の統合化や、情報配信・監視・運用保守作業のアウトソーシングによる業務軽減が実現しました。NEXCO東日本・関東支社様からは、「運用開始により、お知らせ情報の提供ルールが明確となったことで、お知らせモニターの利用が増えてきました。最近では、関東支社内だけでなく、東北支社や新潟支社のお知らせ情報も提供するようになりました。従来は、各施設バラバラの運用で提供の流れも不統一であったものが、提供素材と提供場所・期間を指定するだけで50カ所を超える休憩施設に思い通りの情報をお知らせできるようになり、便利なツールとして認識され、定着し始めています」。
また、「提供素材も静止画像、動画のほか、Web画像など汎用性の高いシステムも活用を促進する理由となっています。今後も利用が促進される中で、より見やすい、わかりやすいお知らせ情報となるよう洗練された内容の提供が期待されています」との好評の声をいただいています。
富士通は、先進のデジタルサイネージサービス、お客様のニーズに応えるコンテンツづくりのサポートに努めてまいります。
東日本高速道路株式会社 関東支社 河原崎 邦彦 氏(中央)
東日本高速道路株式会社 関東支社 石橋 弘之 氏(右)
株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング 藤原 寛史 氏(左)
【パートナーメッセージ】
都築電気株式会社
公共インフラ営業統括部
第一営業部 第一営業課
玉谷 友一
高速道路の休憩施設50カ所以上の端末設置やサイネージシステムの開発・構築を短い期間での作業となりましたが、東日本高速道路株式会社 関東支社様およびグループ会社様、富士通グループの皆様のご協力により、無事にデジタルサイネージを運用開始できました。デジタルサイネージを導入したことで、お客様の負担軽減や高速道路を利用されるお客様への情報発信が可能となり、導入に携わったことに心から喜びを感じています。
今後もお客様の業務課題やご要件に合うソリューションやお客様をサポートできるようなご提案をつづけて行きたいと思います。
所在地 | 〒110-0014 東京都台東区北上野1-10-14住友不動産上野ビル5号館 |
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支社長 | 遠藤 元一 |
事業内容 | 高速道路の管理運営事業(営業路線1,294km)、建設事業(事業路線148km)、サービスエリア事業(営業施設:SA 28施設、PA 84施設)![]() |
ホームページ |
NEXCO 東日本 ホームページ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。