通信コストが膨らむ一方で、社員へのタイムリーな連絡ができない。東京ニュース通信社様は、自社の電話システムに課題を抱えていました。固定電話と携帯電話を融合するFMCサービスを導入し、携帯電話を内線電話として利用することにより、通信コストを削減しながら、情報を確実に伝えられる連絡網の構築を実現しました。
[ 2011年1月13日掲載 ]
業種: | 情報・通信業 |
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導入システム: | 統合コミュニケーションシステム(FMC連携) |
導入期間: | 検討1年8ヵ月、導入2ヵ月 |
1 | タイムリーな情報を逃さないよう、社員に確実に連絡できるようにしたい | 携帯電話を内線として利用することにより、社外でも社内でも連絡でき、確実な情報伝達を実現 | |
2 | 事務所移転に伴う通信システムのコストを見直したい | 外線および拠点間の専用線をIP化し、さらにキャリアのFMCサービスを連携することで通話料を45%削減 | |
3 | トラブル発生時にも通話できる電話システムにしたい | 固定電話が利用している回線が利用できなくなっても、携帯電話の3G回線を利用できるので事業継続が可能 |
東京ニュース通信社様は、ラジオ・テレビ番組情報を軸に出版、配信、IT事業を展開している通信社です。
同社は、1962年に国内初となるテレビ情報誌「TVガイド」を創刊後、テレビ業界の発展とともに販売部数を伸ばし、国内で「テレビ情報誌」というジャンルを確立してきました。現在は、地上デジタル放送の番組情報を扱っている雑誌だけで6誌を刊行するなど、さまざまなニーズに合わせた出版を行っています。
また、新聞協会を通じて、1973年より新聞のラジオ・テレビ欄向けに情報を配信しています。当初は8社だった協会加盟社も現在は110社を超えており、50を超える多彩な配信メニューで対応しています。また、新聞各社と構築している独自の配信システムも、同社の強みです。
さらに、出版物のWeb版・モバイル版の作成、ポータルサイトへのテレビ番組情報の配信、地上デジタル放送対応テレビの電子番組表作成など、さまざまな媒体へテレビ番組情報を提供しています。また、近年ではeコマースや電子書籍など、時代の変化に合わせた情報提供などにも取り組んでいます。
佐藤 雄大氏
東京ニュース通信社 総務局 総務部 課長
テレビ番組情報は、各テレビ局の番組プロデューサーから情報を得て作成しているため、取材先からの連絡が頻繁に行われます。また、配信先の新聞社や広告代理店との連絡も多く、総務局総務部課長の佐藤雄大氏は「当社のビジネスにとって、電話は非常に重要な役割を果たしています」と語ります。
原田 大資氏
東京ニュース通信社 総務局 総務部
しかし、都内に2つあった事業所には、それぞれ内線番号を割り振れる上限の300台近い内線電話が設置されており、管理が困難な状況となっていました。総務局総務部の原田大資氏は、「複数敷設されたアナログ回線やISDN回線の回線使用料に加え、電話の通話料やテレビ局との専用回線の使用料など、通信コストは膨大なものとなっていました」と語ります。
また、取材先からの連絡は、社員の個人携帯に頼っていました。通信費は会社で負担していましたが、請求処理の煩雑さから、結果として社員からの請求がでることはあまりありませんでした。そのため、通話料を気にして連絡も最低限のものだけとなり、コミュニケーションが十分とは言えないこともありました。さらに、社内においても、不在者への電話取り次ぎで業務が中断するなど、効率低下が懸念されていました。
そうした中、2010年8月に、2つあった事業所を1つに統合する形で東京本社が移転することになりました。移転に伴い、10年前に購入して老朽化が進んでいた構内交換機(PBX)もリプレースすることになり、これを機に通信コストの削減と業務効率の向上を目指して、携帯電話をベースにした新しい電話システムの検討を行いました。
携帯電話を導入するということで、当初は携帯キャリアのプランを検討しました。しかし、業務効率化という点を含めたコミュニケーションのあり方全体を見直した結果、富士通の統合コミュニケーションシステムを採用いたしました。
また、本ソリューションが提供する機能が、同社が求めていたニーズと合致したこともポイントとなりました。佐藤氏は「シンプルでありながら拡張性が高く、弊社のリクエストを解決できるソリューションだと感じました」と、当時を振り返ります。
新電話システムでは、社内電話網をフルIP化し、FMCサービスを導入してIP固定電話300台と携帯電話300台を利用しています。FMC(Fixed Mobile Convergence)とは、利用者が固定網と移動網を意識せずに、同じ電話番号、同じ端末で利用できるサービスです。携帯電話は全従業員に支給し、固定電話は4人に1台の割合で配置して利用しています。
導入の効果について、佐藤氏は「固定電話の通話料の45%近い削減を実現できました」と語ります。これはFMCサービスを導入したことでオフィスの内線電話と携帯電話の通話料や携帯同士の通話料が定額となったこと。また、他拠点との回線をIP化したことで、これまで利用していたISDN回線の回線利用料を削減できたこと。この2つが大きな要因となっています。
ただし、外出先からの通話については、これまで社員の個人携帯を自己負担で利用していたところを携帯電話の支給による会社負担と変更したため、その分のコストは増えました。しかし、原田氏は「増加したコストを含めてもトータルで15%の通信コスト削減となっています。そして、何よりも社員が通話料のことを心配しなくても良くなったので、コミュニケーションが以前よりも綿密になったことのほうが大切だと感じています」と語ります。
また、本システムの導入は業務効率の向上にも効果がありました。佐藤氏は、「携帯電話なら場所に左右されずに連絡がつくため、一刻を争うような重要な情報を逃してしまう心配はなくなりました。また、担当者へ直接連絡できるようになったため、業務スピードが非常に早くなったと感じています」と語ります。
加えて、「災害や停電などで固定電話のIP回線が利用できなくなっても、携帯電話の3G回線が利用できるなど、事業継続という点についても効果が見込まれます」と原田氏は語ります。
今後は、Web会議システムを導入し、遠隔地でも顔を見ながら資料共有できるよう、検討を進めています。
「ワークスタイルは変わってきていますが、コミュニケーションの重要さはいつまでも変わらないと思っています。Web会議システムは、無機質になりがちな電話コミュニケーションを補完してくれるのではないかと期待しています」と原田氏は語ります。
また、佐藤氏も「期待していた以上の良いシステムとなり、非常に満足しています。これからは、さらに活用法や事例をいろいろ提案してもらい、より効率的なコミュニケーションを実現したい」と語ります。
東京ニュース通信社様に今回ご提供させて頂いたソリューションは、アプリケーションとの連携において非常に高い拡張性があります。
また、FMC連携のご提案によって、通話料を削減しながら業務効率の向上に繋がった事に、大変喜びを感じております。
関係各位のご協力により、日本全国でも新しいシステムを問題なく導入出来、誠に感謝しております。
今後ともシステムの高い拡張性を基に、お客様のより良い業務環境構築のお役に立てるよう、サービスのご提案、ご提供を行って参りたいと思います。
熊谷 聡氏
富士通パートナー 富士テレコム株式会社
第二営業統括部IPソリューション営業部 第一営業課 VoIPアドバイザ
代表者 | 代表取締役会長 奥山 忠、代表取締役社長 奥山 卓 |
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所在地 | 東京都中央区銀座7-16-3 日鐵木挽ビル |
設立 | 1947年3月20日 |
資本金 | 4,680万円 |
社員数 | 275名(2010年6月現在) |
事業概要 | 番組情報誌および客船情報誌の発行、新聞各社へのラジオ・テレビ欄配信など |
ホームページ | 株式会社東京ニュース通信社 ホームページ |
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