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電子カルテと無線内線通話を融合した医療情報システムを構築し、スマートフォンを利用した病院内のコミュニケーション向上を実現

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様 外観の写真

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様 導入事例


一般財団法人新潟県地域医療推進機構が運営する新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様は、救急救命医療、高度先進医療、医療スタッフの教育を三本柱として2015年6月に開院しました。病院の医療情報システムに求められたのは、効率化と同時に安全性と信頼性を確保すること。同院は、電子カルテシステムと無線内線通話システムを融合した医療情報システムを構築し、スマートフォン1台で内線通話、ナースコールの応答、電子カルテの参照を実現し、病院内のコミュニケーション向上を図っています。

[2016年9月27日掲載]

【導入事例概要】
業種: 医療
導入ソリューション: 統合コミュニケーションシステム
【課題と効果】
1 最新技術を活用し、医療を効率的かつ安全に提供するための医療情報システムを構築したい IP内線交換システムを導入し、電子カルテネットワークシステムと無線内線通話システムを融合した医療情報システムを構築。スマートフォン1台で様々なシーンに対応可能な環境で医師・看護師・患者さんのコミュニケーションを向上
2 医師や看護師が魅力的に感じる環境を提供したい タブレット端末やスマートフォンを活用した最先端のシステムにより、より良い職場環境を実現

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導入の背景

地域医療再編により住民が地元で医療を受けられる基幹病院を新設

慢性的な医師不足に悩んでいる新潟県の魚沼地域では、高度医療や救急医療において隣接する長岡市など他圏域の協力に頼ることが頻繁にありました。そこで、住民が地域で十分な医療を受けるために魚沼地域医療の再編が図られ、地域の基幹病院として新設されたのが新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院(注)です。同院は、地域の医療機関と協力して救命救急医療、高度先進医療を提供するだけでなく、併設の新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センターと連携して医療スタッフの教育および医療技術の研究を行うという役割を担っています。

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院 病院長 医学博士 内山 聖 氏の写真
内山 聖
新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院
病院長 医学博士

病院長の医学博士 内山聖氏は、「魚沼基幹病院では、これまでこの地域にはなかったNICU(新生児特定集中治療室)、心臓外科、神経内科などを含む31の診療科に医師が常勤しており、高度先進医療へのニーズを満たす医療設備、体制を整えています。また、救命救急・外傷センターでは救急外来の重症者に24時間対応します。以前は救急車の10台に1台が長岡市の赤十字病院救命救急センターへの搬送を余儀なくされていましたが、開院後は50台に1台までその割合が減りました」と、開院後1年での地域医療の変化を語ります。

目指したのは医師や看護師に魅力のあるシステム

電子カルテシステムをはじめとした医療情報システムの検討は、開院準備と並行して進められました。その中心的な役割を果たした同院教授(医療情報)であり診療情報管理室長の医学博士 寺島健史氏は、「新しい病院を作るのだから、最先端の技術を利用し、効率的かつ医療の安全と質を確保できるシステムを一から作りたい」と考えていました。同時に、若い医師や看護師が魅力的に感じ、働きやすい職場環境を提供できるシステムにすることも重視。加えて様々な病院から集まってくるスタッフが利用することを考慮し、固有の病院仕様にあわせることなく、標準仕様で利用できるシステムの導入を求めていたと言います。

そこで公募型プロポーザルを実施し、病院長をはじめとする委員会の審査により、2013年秋に富士通のシステムを採用することが決定しました。

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院 教授(医療情報)兼診療情報管理室長 寺島 健史 氏の写真
寺島 健史
新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院
教授(医療情報)兼診療情報管理室長

選定のポイント

採用の決め手は一歩先を行く先進性と熱意

今回構築したのは、統合コミュニケーションシステム(IP内線交換システム)により電子カルテネットワークシステムと無線内線通話システムを融合した医療情報システムです。看護師が持つスマートフォンは、内線通話とともに電子カルテシステムの端末としての機能があり、患者さんの診療情報の閲覧、脈拍や血圧といったバイタル情報の入力、注射時の認証など多数の業務ができます。さらに、アイホン社のナースコールシステムとも連携しており、ナースステーションから離れた場所でナースコールを受けることもできます。ノートPCやPDA(携帯情報端末)など様々なツールが必要だった看護師業務が、スマートフォン1台で可能になります。

システム選定の決め手について内山氏は、「電子カルテシステムは病院内のコミュニケーションツールとして使いやすく役立つものでなくてはなりません。富士通のシステムは豊富な機能を備えており、その機能をスマートフォンで活用できる点が魅力的でした」と話します。今までの病院システムにはない新しさがあり、スマートフォンの活用を含め他社システムより一歩先を進んでいたこと、そしてプロポーザルにおけるプレゼンテーションがわかりやすく、熱意が伝わってきたことが高く評価されました。


左:スマートフォンの利用風景、右:通話中の画面イメージ

導入の経緯と効果

システムの安定稼働を実現し看護師業務にスマートフォンを活用

システムの構築にあたっては、新しい病院に導入するための苦労が数多くあったと言います。

2014年から始まったシステム構築時期は、別々の病院に勤務しているスタッフが打ち合わせのために集まるだけでも大変なうえ、部屋のレイアウトや医療機器・機材も確定していない状態で動線を考慮した運用フローを決めなければなりません。そのため、富士通のシステムが導入されている県内の病院を視察し、システムの設定については富士通のサポートも受けながら一つずつ解決していきました。

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院 看護部 尾矢 博子 氏の写真
尾矢 博子
新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院
看護部

同院の看護部外来で主任看護師を務める尾矢博子氏は、電子カルテシステムで使う処置マスタの構築・保守にも非常に苦労したと振り返ります。それぞれの医師にコンタクトをとり情報を集めてマスタとして構築する作業は、診療材料の変更に伴う修正もあり安定するまでに約半年間必要でした。

医療情報システムは、2015年6月の開院と同時に稼働し、1年以上たった現在大きなトラブルもなく安定稼働を続けています。その要因を寺島氏は、カスタマイズを極力抑えシステムの標準仕様にあわせたメリットや無線と音声の統合による負荷を想定してネットワークがしっかりと設計されていることを挙げています。さらに毎朝7時30分に目視でシステムを点検し、外来診療が始まる前に対応できる体制を整えたことで、異常状態の早期発見につながっていると言います。

システムの利用状況について尾矢氏は、「電子カルテの参照では、スマートフォンの使用率は低かったのですが、約1年が経過して慣れてきたせいかだいぶ増えてきました。特に若い看護師は、スマートフォンから患者さんの診療情報を頻繁に参照し、業務に活用しているようです」と語ります。利用率をあげるためにログアウト時間を延長したり、画面レイアウト変更などの工夫をした結果、3点認証の実施率もあがりました。急に呼ばれたときにも、スマートフォンを携帯しているメリットを実感されています。看護師からは「ナースコールでは患者さんの名前が表示されるので状況を把握しやすい」「生体モニターにあらかじめ設定しておくと、異常な数値になったときにアラームが通知されすぐに対応できる」といった声も聞かれています。また、医師に患者さんの状態を説明する際、スマートフォンで撮影した写真データを利用するなど、スマートフォン本来の機能も便利に使われています。

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様のシステム構成図です。1台のスマートフォンで内線電話機、電子カルテ参照/承認、ナースコール連携、バーコード認証の4つの機能を実現しました。

将来の展望

医療をより効率的かつ安全に提供するためにシステムと業務を継続的に改善

システムは医療を効率的かつ安全に提供するためのものであり、いい加減な使い方をしたり確認を怠ったりすると、業務に支障が生じます。一方で、融通が利かずルールどおりの使い方ではかえって業務の手間が増えるという場面もあります。同院は、業務フローやルールに則ったシステム運用の推進とともに、融通が利くシステムでさらなる業務の効率化を目指しています。

タブレット端末については、医師に1台ずつ配布して情報収集したり、放射線科医師に画像読影のアドバイスをしてもらうなどの活用を考えています。海外の医療現場にも精通している内山氏は、「将来的には医師が病院外からでもタブレット端末で電子カルテシステムの情報を確認し、指示が出せるようにすることで、医療の迅速化を図りたい」と話します。

寺島氏は、「システムの利用が進んでいくと、様々な要望が出てきますし、ハードウェアの経年劣化による不具合も起こり得るでしょう。災害時に備えたリスク管理も必要です。こういった懸案事項に優先順位をつけて継続的に解決してかなければならないと考えています。富士通には、そのサポートをお願いします」と、富士通への期待を語ります。

富士通は、医療情報システムのサポートを迅速かつ細やかに行っていくと同時に、より良い医療提供を目指す新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様のお手伝いを続けてまいります。

新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院の皆様と富士通担当者の集合写真
前列左より 魚沼基幹病院 寺島氏、内山氏、尾矢氏
後列中央 魚沼基幹病院 堀内氏
後列左より 富士通 尾崎、岩本、後列右より 富士通 徳永、中島

営業からの一言

情報ネットワーク基盤上に音声コミュニケーション基盤を統合した例は大変少なく、医療業界においては、弊社のユーザー様では初めての事例となりました。先駆的な提案を受け入れていただき、また発生する多様な課題の解決にも大変なご支援を賜わり、厚く御礼申し上げます。地域医療の未来の姿を目指す「魚沼医療圏」のため、魚沼基幹病院様と共に、今後ともICTの分野から貢献していきたいと関係者一同心より願っております。

富士通 東日本営業本部 新潟支社 ヘルスケア営業部 岩本 裕朗

【新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様 概要】
所在地 〒949-7302 新潟県南魚沼市浦佐4132番地
代表者 理事長 荒川 正昭
病院長 内山 聖
設立 2015年6月
事業概要 新潟県が設置し、一般財団法人新潟県地域医療推進機構が運営する病院。魚沼地域で救急救命医療、高度先進医療を提供するとともに、併設する新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センターと連携して地域医療に貢献する医療人の育成にも力を注いでいます。
新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院様のロゴマーク
ホームページ 新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院 ホームページ新規ウィンドウが開きます

注:正式名称は、「新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター 新潟県地域医療推進機構 魚沼基幹病院」です。

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