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JoinGear導入物語 第11話

第11話  JoinGear提案書のひな形を活用

お客様のお客様に向けて、提案書を作ることに

山手線の御徒町駅からデパートの脇を通って、火除け地にある「かめや」の軒先をみると、白い亀が鎮座している。枝里子は名物のどら焼きではなく、小さな焼き菓子を求めた。カロリーを抑えながら江戸から続く老舗の味わいを楽しめるのがいい。

ビルの間をすり抜けて7、8分も歩くと、湯島天神につく。お客様の会社はすぐ手前にある。澄み切った青空に映える2000株の菊祭りを楽しみ、拝殿に頭を下げてから、ベンチで焼き菓子をひとつ口に入れた。ひと呼吸整える。今日はお客様から頼みごとがあるという。

先輩の三田からは、
「お客様のお客様が、本当のお客様」の典型的なケースだから、「いい勉強になるよ」
と言われたが、新人の枝里子には理解できない。

お客様の新事業部門から声がかかったのは先週はじめ。小さなTVニュースがきっかけだった。日本の伝統である、きめ細やかな「おもてなし」がビジネスになるという。

これまでは「より安く」という経済合理性にターゲットを絞って商品を提供してきたが、「お客様に精神的な安心感や満足感」を与えるビジネスが「おもてなし」戦略という。すでに、老舗旅館や運送業、化粧品販売会社などが「おもてなし」を武器に海外に進出しているそうだ。

新事業部門の鳴戸部長は、その番組の内容を三田から聞かされ
「これを日本体験ツアーに応用したらどうか」とひらめいた。

安価に日本を観光できるツアー企画は、すでに海外の同業者に独占されている。より富裕層を対象にして、「おもてなし」のココロを武器に、経験豊かな老舗の温泉旅館に泊まりながら、日本の伝統芸能や日本料理など日本の文化を具体的に体験する企画なら、お客様の満足度も高くなるにちがいない。この番組の放送がきっかけで社内がまとまり、すでに本格的な取り組みが開始されている。

受付で三田と待ち合わせてから、お客様に会った。
「三田君ありがとう。おかげで新企画はすぐに開始できる」と、優しい目元がほほ笑んでいる。
「少しはお役に立てたようですね」
「そう、でも今日は別のお願い。じつは、社長を筆頭に何人もがあの番組を見たのに、何もしなかったことが分かってね。企画そのものよりも、わが社の情報共有をどう構築すべきか、という議論が沸騰してしまった」
「そうですか。当社にとってはうれしい展開ですね」
新人の枝里子にはまだ理解できない。

「そこでお願いがある。私が社内の情報共有の企画を作るという羽目になってしまった。情報システム部門はコンピュータありきの発想なので、今回は事業部門から社長に向けて、情報共有の改革提案が欲しいといわれた」、
「全世界の拠点は、24時間365日止めたくない。信頼性99.9%では、年間で約9時間の停止を許容する。目標ではなく、実績でこれを大きく上回ってほしい」、
「納期は1か月以内。じっくりと仕様決めや開発、途中の進捗管理、受入検査などをしている暇はない」、
「問い合わせは、24時間の対応」、
「費用は運用も含めて4年間で比較」、
「性能は、最低で必要なインターネット回線速度で判断したい」、
「運用センターは国内で、現地見学が可能なこと」
と、部長の要求はとどまるところを知らない。
「分かりました。提案書作りの窓口は新人にしますが、実質的には私が対応します」と三田は言いきって、その場を辞した。

ひな形を使って新人が作った提案書が、評判を呼ぶ

三田の電話を受けたときは、ひろみは少し困った顔をしたが、内心はうれしかった。
「メーカーの営業さんが、私に話ってなんだろう」
昼休みに、会社近くの小石川後楽園までくるという。散歩しながら会うことにした。ふと思いついて、昔ながらの糖蜜の味がなつかしい「かりんとう」を求めて、新緑の匂い立つ公園に入った。

誰かすれ違ったかなと思ったら、「ひろみさん」と呼び止められた。三田がこちらを振り向いて笑っている。考えごとをしていて気付かなかったのか。

「あらいやだ。変な顔をしていなかった」と、取り繕うひろみに、
「呼び出してごめん。大切な昼休みをつぶしてしまって」と、あくまで三田はくったくない様子。たびたび会ううちに、年もあまり違わないので、つい友だち感覚の言葉づかいとなっている。

「これ、どう」と、かりんとうの包みを開くと、
「いや、うれしいねえ。今日も昼抜きなので助かった」と素直に喜んでいる。この様子で話って、一体何だろうか。都心の公園は平日なのでとても静か、散策にはちょうどいい。

「じつはこの間、ようやく新人が配属されてきた。ちょうど期末の忙しい時期だったから、あるお客様を担当してもらった。それも一、二度連れて行ったきりで、そのまま任せてしまったのが間違いでね」
「ふーん、それでどうしたの」と、ひろみは気になって先を急がせる。
「それが、なんと1か月もたたないうちに初受注となって、先月のMVPをさらわれた」
「それは、良かったじゃない」と言ってみたが、三田には元気がない。

要するに、入社早々の新人が実績をあげたのに、自分は期末の追い込みに失敗し、落ち込んでいるのだ。商売には、時の運もある。たまたま、お客様と波長が合えば受注が連続することもあるが、そうでなければ空振りが続く。でも、彼が悩んでいたのは、もっと根本的なことだ。彼は、自分の仕事のやり方が少し古くさいと感じているのだ。

例の新人は、なんとお客様のアドバイスを受けながら、公開ページにあったひな形を活用して提案書をつくり、さらに顧客ニーズに沿った完璧なデモサイトを構築し、それをお客様の上層部にぶつけたという。さらに、彼が「忙しいから顧客プレゼンにはつきあえない」と言ったときには、新人はちゃっかり課長を飛び越えて営業部長を引っ張り出し、お客様のトップに導入の決断を迫ったという。特に、お客様のキーマンには日参し、顧客にぴったりのデモサイトを一緒に作り上げ、それを提案書の中にちりばめておいたのが、説得力を増したようだ。
お客様からは、みんなの前で「若いのに筋がいい」と、新人営業のことをほめていただいたという。

彼は、「たかが新人と思って、まだ何も教えていないのに成果を出され、先輩として情けない」と、自分を責めている。
「それがどうしたの。新人が勝手に育って良かったじゃない」

「いやあ、時代は変わった。マニュアル世代と言われて続けてきたけど、いまの新人は、マニュアルをきちんと使いこなしている」と神妙な様子。

さらに、
「JoinGearの公開ページに、ひな形提案書があってね、そこにお客様の個別事情を付け加えれば、とりあえず社内稟議書として十分な企画書ができてしまう。新人は、これに旅行業界のホットな話題を付け加えて提案書を作ったそうだ」と、ほとほと感心している。

「今朝になって、部長から『もう新人は一人前だから、新しいプロジェクトで活用するよ』と言われてね。部下のいない生活に戻ってしまった。ハハハ」と、三田らしくない。
ひろみは、なんだか無性に腹がたってきた。「午後の仕事が始まるからね」と、彼に菓子の袋を手渡しながら、無理に手を振って公園を後にした。


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